筋力アップやダイエットに効果的なフリーウエイトトレーニング。トレーニングの際は、基本的な知識や流れを知らないと、成果が出にくいだけでなくケガにつながってしまいます。
そこで今回は、フリーウエイトトレーニング初心者向けに、おすすめの種目やメニューの組み方、初心者にありがちな失敗例について解説していきます。
バーベルやダンベルを使ったフリーウエイト初心者におすすめの種目は、次のようなスクワットやデッドリフト、ベンチプレスです。
スクワットは膝を曲げて上体を上げ下ろしするトレーニングで、脚を中心に、お尻やふくらはぎなどにある筋肉を鍛えることができます。
脚は体の中で特に大きな筋肉を持つ部位です。そのため、スクワットを行うことで下半身の筋力アップはもちろん、体の安定性を高めることができます。
また、筋肉量の増加で基礎代謝も効率的に増やせるため、ダイエット効果アップも狙えるでしょう。
トレーニングの際は、脚の幅や上体を下ろす深さなどを調節することで、細かい部位や筋肉への刺激の強さなどを変えることができます。ただし初心者の場合は、オーソドックスに足幅を肩幅程度に開くやり方がよいでしょう。
デッドリフトは、床に置いたウエイトを持ち上げるトレーニングで、主に背中やお尻の筋肉を鍛えることができる種目です。また、補助的に太ももや腕を使うため、多くの筋肉を同時に鍛えることができるメリットも大きいです。
さらに、デッドリフトでは体の中心部にある体幹も使うため、バランス感覚や姿勢の安定、ダイエットの土台づくりなどの効果も期待できるでしょう。
ただし、デッドリフトはフォームが難しく、自己流で行ってしまうと腰を痛める恐れがあるため注意が必要です。
ベンチプレスは、ベンチに仰向けになり胸の上でウエイトを上げ下ろしするトレーニングです。鍛えられる筋肉は、胸や肩、腕など、上半身の前面にある広い範囲に及びます。
胸も脚や背中と同様に、体の中で大きな筋肉を持っている部位です。そのため、ベンチプレスを行うことで上半身を使うスポーツで力を発揮する他、胸板を厚くしたりダイエット効果をアップさせたりすることができます。
トレーニングでは、バーベルを使用するかダンベルを使用するかで筋肉への刺激が変わります。また、ベンチの角度や手幅などを変えることで細かい調整ができますが、初心者の場合は通常のフラットベンチでよいでしょう。
トレーニングメニューを組む前に、正確にフォームを覚えること、そして目的に応じて負荷や回数を変える必要があることを知っておきましょう。
トレーニングの際は、正確なフォームで行うことがたいへん重要です。しっかり筋肉に刺激を与えることはもちろん、ケガ防止のために必要なためです。
フリーウエイトは、マシンと違って取り扱いが難しく安定しにくい特徴があります。そのため、ウエイトを付けずにバーベルシャフト(棒の部分)だけ、また軽いダンベルでフォームを正確に覚えるようにしましょう。
フォームを覚える際は必ずトレーナーに見てもらい、正しいフォームでできるようになるまで修正を繰り返すようにしてください。
初めてフリーウエイトトレーニングを行う場合、まずフォームを覚えることが最優先です。しかし同時に知識として、トレーニングの目的に応じて負荷や回数を変える必要があることも知っておきましょう。
たとえば、筋肉を大きくすることが目的の場合、スクワットやデッドリフト、ベンチプレスの各種目で1セットあたり10回が目安になります。その回数で限界がくるように、ウエイトを設定します。
ダイエット目的の場合は、1セット15~20回と高回数が基本です。
フォームを覚えるために軽い重量を取り扱う段階で、目的に応じた回数でどの程度筋肉に負荷を感じるか、また疲労を感じるかなどを確認しておくとよいでしょう。
具体的なメニューの組み方は、フォームを覚える段階とその後で変える必要があります。
フォームを覚える段階では、しっかり筋肉に負荷のかかる体勢になっているか、怪我をしないフォームになっているか確認しながらトレーニングを行います。そのため、重量は軽く設定します。
1回のトレーニングではスクワットとデッドリフト、ベンチプレスの全種目を行います。フォームの習得が目的のため、セット数や回数は設定しません。
また重量が軽い分、大きな負荷はかかりません。そのため、重量や疲労を気にせずフォームを覚えることに集中できるでしょう。
トレーニングは、トレーナーに確認してもらいながら丁寧に行います。指導なしでも正確なフォームでできるまで、特に苦手な種目を繰り返し行うことが大切です。
フォームを覚えたら、目的に応じた重量に設定してトレーニングを行いましょう。
ただし、初回のトレーニング時は、適切な重量は正確に把握できていません。また、筋力も弱い状態です。そのため、ケガ防止のためにも軽めの重量に設定しましょう。
トレーニングは、週に2日が目安です。残りは筋肉を回復させるための休養期間になります。
トレーニングの際は、重視する種目から順に行いましょう。
ダイエット目的で基礎代謝量を効率よく増やしたい場合は、筋肉量の多い脚から鍛えます。そのため、スクワット→ベンチプレス→デッドリフトの順がおすすめです。
それぞれ、1セット15~20回を2~3セットずつ行います。セット間の休憩時間は1分、種目間の休憩時間は5分ほどとりましょう。
筋肉を大きくする目的で特に上半身を鍛えたい場合は、ベンチプレスから始めます。ベンチプレス→スクワット→デッドリフトの順がおすすめです。
回数は、1セット10回を2~3セットずつ行います。この場合もダイエット目的と同様に、セット間の休憩時間を1分、種目間の休憩時間を5分ほどに設定します。
まずは軽めの重量から始め、フォームが崩れないように注意しながら、徐々に重量を増やしていきましょう。最終的に、正確なフォームで、それぞれの回数で限界がくる重量を取り扱えるようにします。
ここでは、初心者にありがちな失敗例を紹介します。間違った行動によってトレーニング効果が期待できないだけでなく、ケガをする恐れがあるため注意してください。
トレーニング回数が少ない段階では、フォームが崩れやすくなります。
本人がフォームを覚えたと思っていても、時間が経っていたり取り扱う重量を増やしたりすることで、思っているのとは違ったフォームになることがあります。間違ったやり方でトレーニングを続けてしまうと、そのフォームが定着してしまいます。
その結果、鍛えたい筋肉に十分な刺激を与えられなかったり筋肉を痛めたりする恐れがあります。そのため、定期的にトレーナーにフォームを確認してもらいましょう。
トレーニング器具を正しくセットしないことも、初心者にありがちなことです。ウエイトをバーベルにしっかりセットしない、バーベルを一定の高さでストップさせるセーフティー(安全装置)を設置しないなどです。
間違った使い方は、ケガを誘発する恐れがあります。そのため、フォームを覚える段階で必ず正しい使用法を確認するようにしてください。
筋肉を大きくしたい人に多いのが、無理に重いウエイトを取り扱うことです。
フリーウエイトトレーニングを始めたばかりの段階では、まだ筋肉が動きに慣れていません。また、フォームを体にしっかり覚え込ませる必要があります。
そのため、1セット2~3回しかできないような高重量を扱う必要はありません。無理に重いウエイトを取り扱うと、大きなケガをする恐れがあるため注意してください。
新たな種目に挑戦しようと、基本の種目以外に上級者向けのトレーニング種目に手を出すケースもあります。たとえば、3種目以上を連続して行うジャイアントセットのようなやり方です。
ジャイアントセットは、マンネリを防ぎ筋肉に新たな刺激を与えるためのトレーニング法で、運動強度がたいへん高い特徴があります。しかしその反面、大きな負担がかかるため、筋肉へのダメージや疲労が蓄積しやすいです。
このようなトレーニングを初心者が行ってしまうと、筋肉の疲れが抜けなくなったり回復が追いつかなくなったりする恐れがあります。また、フォームも崩れやすくなるため、大きな事故にもつながりやすいです。
そのため、初心者の段階では基本の3種目に集中することをおすすめします。
トレーニング時間を意味なく伸ばさないようにしましょう。筋力トレーニングのような無酸素運動は、できるだけ短時間で行うことが効果を高めるコツです。
筋力トレーニングを長時間行ってしまうと、脳がエネルギー不足を感じて筋肉からエネルギーを取り出そうとします。その結果、筋肉が分解されてトレーニング効果が小さくなってしまうのです。
休憩時間に器具をセットしたりスマートフォンを操作したりしていると、すぐに時間が経ってしまいます。そのため、トレーニングの前にウエイトやセーフティーを設置するなど事前の準備をしっかり行って、トレーニング時間を伸ばさないようにしましょう。
ダイエット目的の人に多いのが、ウエイトトレーニングの前に有酸素運動をしっかり行ってしまうことです。
有酸素運動自体は、カロリー消費に効果的です。しかし、トレーニングの前に行ってしまうと、体力を消耗し疲れが蓄積してしまいます。
その結果、トレーニングに集中できない、筋力を十分に使えない、フォームが崩れるなどのデメリットが発生しやすくなります。また、エネルギーを作り出すため筋肉が分解されることもあります。
そのため、トレーニング前は30分以上の有酸素運動を行うのではなく、ウォーミングアップとして10分ほどの軽い運動にとどめましょう。
トレーニング頻度を多くする失敗例もあります。
ウエイトトレーニングを始めたばかりの頃はモチベーションが高いため、週に4回、5回とトレーニングしてしまうことがあります。そうすると、筋肉が十分に回復していないところに、新たな刺激を与えることになります。
これをオーバートレーニングと言い、過度なトレーニングが原因で疲れがとれない、筋肉が成長しない、反対に筋肉が減少するなどの多くのデメリットが発生してしまいます。そのため、週に2回のトレーニング頻度を守るようにしましょう。
鍛えるパーツを細かく分けすぎてトレーニングするケースもあります。
初心者の段階では、スクワットとデッドリフト、ベンチプレスで基礎となる筋肉を作ることが重要です。この段階で細かい筋肉を鍛えても、土台ができていないため高い効果は見込めません。
トレーニング方法が正確でないことも多いため、ケガをする恐れもあります。そのため、まずは基本の3種目で筋肉の土台をしっかり作ることに集中しましょう。
フリーウエイトトレーニング初心者のためのおすすめ種目やメニューの組み方、失敗例などについて解説してきました。
初心者の段階では、無理に重いウエイトを取り扱ったり上級者向けのトレーニングを行ったりしないようにしてください。フォームや筋肉の土台ができていないため、ケガをする恐れがあるからです。
まずは、トレーナーの指導を受けることができるパーソナルトレーニングがオススメです。パーソナルトレーニングによってフォームを正確に覚え習得することが可能です。その上で、目的に応じた重量や回数、トレーニングの流れなどを覚えましょう。
筋力アップやダイエットで理想の体になるための第一歩として、ぜひウエイトトレーニングを始めてみてください。
ハコジム エグゼクティブトレーナー。パーソナルトレーナー養成校HUB校長。国家資格 柔道整復師。後進のトレーナーを教育する傍ら、自らも現場に立ち指導に取り組んでいる。