筋肉をつける為のメカニズムとしてよく言われるのは、
「筋トレ」→「筋損傷」→「超回復」→「筋肥大」です。
その為、筋トレとは筋肉に損傷を与えることといわれることがありますが、厳密に言うとこれは少し違います。
ここでいう損傷とは、エキセンセントリック収縮のによって引き起こされるものです。
ではエキセントリック収縮とは何か?
それは筋肉が収縮する力を発揮しながらも外力によって収縮される伸縮させられることです。
具体的にはバーベルを下ろす動作や、階段を下りる動作、着地動作がこれにあたります。
山登りでは山を登るからではなく、下ることによって翌日の筋肉痛が引き起こされるということが良く知られています。
ではこのエキセントリック収縮で筋肉を損傷させなければ筋肥大しないのでしょうか?
ほとんどエキセントリック収縮をしないスポーツ競技に水泳、自転車、ボートなどがあります。
水泳は筋肉痛がほとんどおきないスポーツとして知られています。
それではなぜ、水泳選手の筋肉は良く発達しているのでしょうか?
それは水泳選手がトニックと呼ばれる動きをしていることに関係します。
トニックとは瞬間的な力を発揮する動きではなく、持続的な負荷に対して筋力を発揮するものです。
筋トレの例でご説明いたしましょう。
筋肉ムキムキのボデービルダーが非常に軽い重量でトレーニングをしていることがあります。
軽い重量では筋肉への損傷は発生しませんがトニックな動きをすることにより効かせるトレーニングができているのです。
効かせ系のトレーニングとも呼ばれます。
通常のトレーニングでは力を入れたり抜いたりすることで血流が良い状態となるのですが、
効かせ系のトニックなトレーニングでは、じわりじわりと持続的な動きをして常に筋内圧の高い状態を保ち血液が流れる量を制限します。
血液が制限された状態での運動は酸素不足を招き、乳酸が大量に発生し、これにより筋肥大が起こるのです。
例えばベンチプレスでバーベルを上げ下げする際にはゆっくりすればこの状態となります。
スクワットでの膝の曲げ伸ばしも同様にゆっくりします。
これをスロー法と呼びます。
さらに、効かせる方法として、
ベンチプレスでバーベルを上げた際に最後まで腕を伸ばしきらない状態とします。
スクワットの場合も膝が伸びきる直前でやめます。
これをノンロック法と呼びます。
スロー法とノンロック法を両方取り入れたトレーニングをノンロックスロー法といいますが、これを行うことで筋肉に損傷を与えなくとも筋肥大を促すことができるのです。
当然、扱える重量は普段よりも小さくなり、回数も減ることになります。
通常のトレーニングばかりではマンネリ化してきたというときなどに取り入れても良いでしょう。
ハコジム エグゼクティブトレーナー。パーソナルトレーナー養成校HUB校長。国家資格 柔道整復師。後進のトレーナーを教育する傍ら、自らも現場に立ち指導に取り組んでいる。