近年、健康への意識が高まり、ジムやフィットネスクラブなどの需要が高まっています。
それを受けてフランチャイズ展開をして新規出店を加速しているジムが増加しています。それにより、経営未経験の方や異業種からの参入が増加しています。
しかしながら、業態やビジネスモデルにより必要な開業資金や契約条件も大きく異なります。実際にジムをフランチャイズで開業すべきか、独立開業するべきか何を基準にして判断すべきか迷っている人もいるでしょう。
本記事では、ジムのフランチャイズ参入を検討している方向けに、24時間営業の個人ジムであるハコジムの経営から得た知見を共有します。
ジムのフランチャイズ経営を考えている方に、「ジムのフランチャイズの仕組み」、「フランチャイズを成功させるコツ」や「選び方」などをご紹介します。どちらで開業すべきか、「フランチャイズのメリットとデメリット」や「それぞれおすすめするパターン」を読んだ上で判断していただければと思います。
「フランチャイズ」とは、フランチャイズ本部(FC本部)から商品やサービス、経営者になるためのノウハウなどの提供を受け、加盟店として事業を運営するビジネスシステムです。
フランチャイズには、飲食業・小売業・サービス業と大きく三つの業態があり、その中でもたくさんの業種があります。
それぞれの業種によって「開業資金」や「運営方法」が全く異なってきます。「未経験からでも、オーナーになれる」、それがフランチャイズです。そこでFC本部を選ぶ際に「事業が成長する可能性を見極める」ことが重要です。「フィットネス業界の今後の成長は?」「フランチャイズの仕組みは?」「フランチャイズのメリットとデメリット」を解説していきます。
フィットネス市場は2012年から継続して伸びており、2019年の市場規模はおよそ4,939億円とほぼ5,000億円にまで達し、業界史上最高値を更新しましたが、2020年は新型コロナウイルス感染症の影響により大きく低下しました。
しかし、新型コロナが流行中でも、24時間ジムとパーソナルジムは店舗拡大しています。
その要因として、
このように24時間ジムやパーソナルジムは時代の流れに合わせてフランチャイズを拡大し続けています。
新型コロナの影響を受けてフィットネス業界全体は減少しましたが、ジムの在り方やニーズが変化したことで、自宅で行えるオンラインサービスやIoTデバイスを活用したサービスが増加しており、新たなフィットネス業態として多岐に広がっています。
今後も新たなフィットネス業態が増え続けることで、それぞれのニーズに合ったジムスタイルの選択肢が可能になるため、今よりももっとフィットネス市場は拡大すると予想されています。
フランチャイズビジネスとは、「フランチャイザー(FC本部)が開発したフランチャイズシステムやノウハウと、それを象徴する商標もしくはサービスマーク、チェーン名などの事業を運営する方法を提供することを指します。フランチャイジー(加盟店)は、自分の資金を投入して、本部の開発した商売の方法、ノウハウを使用して営業を行い、お互いに利益を得ようとする、いわば「事業の共同体」ということ」と記載されています。
具体的な内容として、「フランチャイズ契約」を結ぶことで、
加盟することでこれらの権利を得ることが出来ます。
その対価をフランチャイズ本部に支払うという仕組みです。
これをロイヤルティ[royalty]といいます。ロイヤルティは英語で、印税、使用料、特許権使用料のことです。
フランチャイズの仕組みを大きく理解したうえで、メリットとデメリットをそれぞれ紹介します。
フランチャイズ本部が過去に蓄積した実績と経験に基づき事業を行なうので、個人で開業する場合と比較して成功する確率が高いです。また、フランチャイズ本部による経営や店舗運営のノウハウはすべてパッケージ化されており、それらを継続的に受けることができます。
そのため業界・経営が未経験でも安心して事業を始めることが出来ます。
個人店とは違い、フランチャイズ本部のブランド力には、大きな集客効果があります。大手ブランドの信頼感によって安心してサービスを利用できるので、開業初日から行列ができるチェーン店も存在しています。
そのため広告宣伝を自主的に行う必要がないので、事業主は自店の運営のみに注力できます。一人で開業しても、本部からのサポートでスムーズな運営が可能です。
フランチャイズでは、ノウハウやサポートが得られる分、加盟店は本部に対してロイヤリティという料金を支払う必要があります。
ロイヤリティは、特許権使用料のことなので、これは契約期間中は支払い続けなければなりません。
ロイヤリティの高すぎる本部を選ぶと、利益はなかなか上がらないので確認する必要があります。
また利益が上がらないときでも、ロイヤリティの支払いが発生する場合や途中解約すると違約金がかかることもあるので注意が必要です。
本部が提供するフランチャイズパッケージのルールにより、チェーンの統一性が優先されるため、個人のアイデアを自由に生かすことが制限されます。
店舗のイメージ、取り扱い商品やサービス、メニューなどすべて本部の経営方針に従わなけれならないので、独自のキャンペーンを自由に提供できないことが多いです。
ジムを開業しようと考えた時、何から決めていいか分からないと言う方は多いでしょう。
トレーナーとしての経験が豊富であっても、ジム経営となると初心者で知識不足の方は少なくないでしょう。
まずは、フランチャイズに参画するか、独自で開業するかを決めなければなりません。
フランチャイズに加盟することで、フランチャイズ本部のビジネスモデルやブランドを利用出来るため、経営に必要な広報活動をすることなく、スムーズにジムを運営することが可能です。そのため以下のような方にフランチャイズ参入をおすすめします。
独立することで、自由にコンセプトやトレーニングメニューを決めることができます。また、ロイヤリティを支払う必要がないので利益が出た分が全て自身の収益に繋がります。
また以下のような方は独立での開業をおすすめします。
それぞれおすすめするパターンから、どちらがご自身に合うか判断軸にしていただければと思います。
ジムのフランチャイズを成功させるには、「業態×立地」で決まると言っても過言ではないです。それほど、フランチャイズの業態によって開業条件が異なるため、同じ資金運用でも利益率が変わってきます。
また、ジムは若い人から年配者まで利用する施設ですが、地域によって利用する年齢層が変わるため利用目的に合わせた立地選びが重要となってきます。
「業態」と「立地」の選び方についてそれぞれ詳しく紹介します。
フィットネスクラブ市場のなかでも、様々な業態があります。大きく4つに分けて、「総合フィットネス」「コンセプト型スタジオフィットネス」「24時間ジム」「パーソナルジム」です。
それぞれのビジネスモデルによって必要資金に違いがあるため、4つのタイプに分けてそれぞれ比較した表をまとめました。
特徴 | 開業資金 | 運転資金 (12カ月計算) | |
総合フィットネス | 大型ジム。プール、ランニングコースや複数の小スタジオなど様々なサービスを提供したフィットネス | 約4億円~ | 約3億円~ |
コンセプト型スタジオ | 中型ジム。「健康」「ボディメイク」「ダイエット」「ストレッチ専門」など、目的に特化したフィットネス | 約4000万円 | 約150万円~ |
24時間ジム | 中小型ジム。24時間年中無休で自由にランニングマシンやウェイトマシーンを使用できるジム | 1,000万~1億円 | 約200万円~ |
パーソナルジム | お客さま一人ひとりに専属のトレーナーがついてワンツーマンで行うジム | 300万円~500万円 | 約200万円~ |
それぞれの内容は下記の通りです。
「加盟金」
店舗によって変動しますが、加盟金は100〜400万円ほどです。
「研修費」
加盟店と同様に、店舗によって異なりますが50万円程です。
「店舗関連費」
物件取得費・内装費やマシンなどの設備費用です。この部分が店舗規模によって価格が大幅に変わってきます。物件によっては、半年分の家賃代を契約として支払う場合もあるので注意が必要です。
小型ジムでも、排水設備などが揃っている物件であれば大幅に設備費用を抑えることも可能です。
店舗規模や開業する地域によってかなり開業資金が変動するため、自身に合った業態を選択することをおすすめします。
「人件費」
店舗規模によって変動します。24時間ジムでは、無人運用が可能な業態の場合は、人件費はかかりません。しかし、総合フィットネスでは人材採用やマネジメントが必須であるため人員を雇うとなると売り上げの10〜30%ほどを占めます。
「賃貸料」
人件費同様に、店舗の広さや出店エリアによって異なります。総合フィットネスや大型の24時間ジムは、300〜1000坪と広い店舗面積となるため毎月のコストが大きくなります。しかし、パーソナルジムであれば最小限のマンションの一室でも開業可能なため賃貸料を抑えることが可能です。
また賃貸料は物件取得時の敷金・礼金の価格にも影響します。売り上げの10〜20%程度に収まる物件を選定することをおすすめします。
「水道光熱費」
ジムでは運動に適切な気温設定にしたり照明をつけたままにしたりなど、意外と光熱費がかかってしまいます。自動点灯やシャワールームの設置する必要が無いエリアを選ぶことでコストを抑えることが出来ます。
「ロイヤリティ」
フランチャイズ本部によってロイヤリティは、月固定型か売上額に応じた変動型があります。
固定型の場合は1ヵ月あたり5〜30万円ほど、変動型の場合は売り上げの3〜10%ほどです。
特にジムは会員数で収益が左右されるため、一定以上の会員数にならないとロイヤリティが発生しない企業もあります。
毎月決まった出費となるので、運営資金については必ず本部に確認するようにしましょう。
経営する上で、開業前には事業計画書の提出や店舗の場所を決めなければなりません。また、開業後も人材派遣や集客など、運営するにあたってやるべきが多い中フランチャイズ本部によってそれらをサポートするサービスを行っています。具体例として3点取り上げました。
「計画作成のサポート」
加盟店のオーナーとして、事業計画書や資金計画書を作成するのは必須です。
融資を受ける際に金融機関から計画書の提出を求められるため、作成方法のアドバイスが受けられる場合があります。
「立地・売り上げ調査のサポート」
融資窓口の紹介は、間接的サポートの一つで、政策金融公庫や信用保証協会の窓口など、融資を受けられる窓口の紹介を受けられるフランチャイズもあるので、融資活動がスムーズになります。
「集客・支援のサポート」
ブランド力があるFC本部ならば、それだけで集客につながりますが、本部ではその他にもチラシやホームページなど、販促ノウハウの提供も行っています場合もあります。
上記の3項目は開業・運営する際にスムーズに進めることが出来るサポート内容です。FC本部によって、サポート内容は異なるためこの観点でどんなサポートしてくれるのかを確認しましょう。
出店目的に適した立地の選び方として、商圏を様々な条件や角度からリサーチすることがとても大切です。商圏には、どんな地域で、どんな年齢層の人が住んでいるのか。
どんなケースでの利用を想定しているのかを元に物件の立地を選ぶことをおすすめします。
郊外と都市部では、商圏人口・利用目的や不動産の相場も異なってきます。
24時間ジムの例を元にご紹介します。
「商圏」とは、自店舗を利用する顧客が存在する範囲のことであり、24時間ジムのフィットネスクラブを利用する年齢層は、40代以下が90%以上です。
また、男女比は80%が男性ですが、女性インフルエンサーのSNS発信の影響により、女性の利用者も増加傾向にあります。
そして、ジムに通う方の90%が初心者であることも特徴です。
実際に初心者をターゲットとする24時間フィットネス業態が増えています。
日本のフィットネス利用者は全人口の3%(約420万人)であるため、まだまだこれからの市場であると考えられます。
商圏人口をもとに出店するにあたってどんな人の利用を想定していますか。どんな人をターゲットにするかによってどこに店舗を置くべきなのかは異なるため3つのパターンをご紹介します。
ビジネスマンが利用する時間帯は出社前もしくは退勤後に利用する方が多いです。都市部であれば、同僚と契約しやすいため複数人で継続契約が可能になります。
最近はコロナの影響により在宅ワークが増えているため、住宅街に出店することもビジネスマンのターゲットが狙えると予想できます。また住宅街であれば、自宅でシャワーを浴びる利用者が大半なので、シャワーブースの設置数や光熱費を抑えることが出来るメリットがあります。
学生がアルバイト先として通っている方も増えており、またアルバイト前後の合間の時間に利用する方が多いです。利用しやすい場所は、大学近くの学生マンション街や飲食街です。自宅とバイト先の経路上にあれば継続して通うことが可能です。飲食街であればバイト仲間と一緒に利用することを想定できます。
主婦層は平日の昼間に利用することが多いです。一人暮らしのマンションではなく家族マンションが多い地域を選ぶことでスキマ時間に通いやすい環境を作ることが出来ます。また、化粧室や女性トレーナーを採用するなど女性が通いやすい空間を作ることで他ジムと差別化することができます。
24時間ジムを開業するのであれば、店舗面積はコンビニよりも少し広い60〜90坪が平均です。
都市部で開業するのであれば、90坪の家賃相場(1カ月)は130万円です。
郊外・地方であれば、同様の広さで80万円と地域によって家賃相場が異なります。
郊外で狙えるターゲット層を定めて開業することで、低コストで運営することが可能です。
ジムのフランチャイズ募集している業態として、「24時間ジム」「総合フィットネスクラブ」「パーソナルジム」が有名です。
またそれらの長所を組み合わせた次世代ジムが「ハコジム」です。それぞれの特徴を踏まえたうえで「ハコジム」にはどんな特長があるのか紹介します。
24時間経営の場合は、小型施設でも開業可能な上に、スタッフがいない時間でも営業が可能なため、低コストで経営が可能です。
例として、「エニタイム」では、独自の入館管理システム・セキュリティシステムによって夜間の無人化営業を導入し、運営コストを大幅に削減しています。
また、「FIT-EASY」は入会・入店まで完全非接触対応システムを導入しているため、人件費をかけずに運営できるジムがあります。
人件費を抑えることで、その分低価格での提供が可能なため、集客力にも繋がります。
総合フィットネスは、プールやダンススタジオなどを併設しているため、幅広い年齢層が利用しています。しかし、広い店舗面積と多くの機材や設備を導入する必要があるため、初期費用や運転費用は24時間ジムと比較して大きくなる傾向があります。
また、一人では経営することは不可能なため、スタッフの採用・教育・マネジメントを行う必要があります。
パーソナルジムの場合、完全パーソナルトレーニングジムですので、一人がトレーニング出来るスペースがあれば開業出来ます。マンションの一室や、空きスペースなどの個室を利用しての開業が可能であり、開業資金も非常に低く抑えられることで、事業の成功率が飛躍的にアップします。
これらを組み合わせた、「24時間年中無休 × 個室 × スマートミラー」による合理的なプライベートジムです。
スマートミラーとは、Webブラウザー経由で提供するサービスで、トレーナーによる手本の動画を再生しながら、カメラで撮影する動画からユーザーの動きを認識して手本との差をAIが分析します。
近年ミラーデバイスを使ったオンラインフィットネスサービスが注目されています。
ハコジムの特長は
他ジムと比較して加盟金も低額に抑えているため初期資金を低価格で開業することが可能です。また、店舗面積が20坪以上であれば開業可能なため低家賃の上に、スマートミラーにAIトレーナーを設置するため人件費削減でき、運転資金も低コストに抑えることができます。
スタッフの採用育成、オーナー様の接客対応は一切不要なため副業でも問題なく運営できます。
もちろん開業前後の本部サポートもあるため、未経験者でも始めたい方におすすめします。
フランチャイズでのジム経営は、本部と契約し、加盟店のオーナーとして運営します。
個人でジムを開業するより、トレーナーとしての研修や店舗運営などのサポートも受けられるメリットがあるため、未経験者でもハードルも低くリスクも少ない経営が可能です。
しかし、デメリットとして加盟金・ロイヤリティの支払いをする必要があります。
またフランチャイズ本部によって、サポート内容・経営方針やジムの形態はさまざまなので資料請求するなどして自身に合うものかをぜひ選んでみてください。