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ダイエットに糖質制限は効果的!メリットと注意点を徹底解説

糖質制限食はダイエットの定番になりつつあります。しかし一方で、栄養バランスが崩れて免疫力が下がる、リバウンドしやすくなるなどの噂も聞かれます。実際に、過度な低糖質食はデメリットも発生させるため、糖質制限のやり方には注意しなければいけません。

そこで今回は、ダイエットにおける糖質制限のメリットや注意点について解説していきます。

ダイエットにおける糖質制限のメリット

食事で摂取する糖質の量を減らすことは、ダイエットに効果的です。糖質制限には、体脂肪を減らしやすくするメカニズムが存在するためです。ここでは、糖質制限のメリットを説明します。

ケトン体代謝体質になり体脂肪が減少しやすくなる

ケトン体代謝体質とは、体脂肪を分解することができる、ダイエットに適した体質のことです。その前にまずは、私たちの身体を健康に維持するためにどんな栄養が必要なのかから解説していきましょう。

三大栄養素と呼ばれる糖質、脂質、タンパク質は身体を動かすエネルギー源として必要なものです。ただ糖質は過剰に摂取すると体内で体脂肪に変換されてしまうため、過剰摂取には注意が必要です。

糖質制限を行い体内の糖質が足りなくなると、身体は糖質の代わりに脂肪(脂質)をいつもよりも多く使おうとすることが分かっています。そのため、昨今では糖質制限ダイエットが注目されているんです。

つまり、糖質の摂取を意図的に減らすことで体脂肪が優先的に使われる(=脂肪の分解)ことになります。脂質が分解された時に発生するケトン体がエネルギーとして活用できるからです。

これが私たちの身体に備わっている「ケトン体回路」という仕組みです。

ただこのケトン体回路は、「解糖系回路」など他の回路が稼働しているとき働きづらいという性質をもっています(※解糖系回路:糖質を使いエネルギーを生成している)。

ケトン体回路が働きやすくするために、毎日の糖質摂取を抑えることで普段休みがちなケトン体回路を働かせ、体脂肪を蓄積しない体質にできると考えられます。

最近ではこのダイエット方式をケトジェニック!な生活とよんだりしますね。

インスリン分泌が抑えられ体脂肪が溜まりにくくなる

インスリンは血糖値をコントロールするホルモンとして有名で、食後摂取した糖を身体の細胞に運ぶ役割をしています。内臓や筋肉が正常に働いているのはこのインスリンのおかげですね。運ぶ、そして臓器への取り込み促進という特性(合成作用)が強いこのインスリンですが、大量に分泌されると糖質を体脂肪としてため込む働きも強くなってしまいます。

このインスリンの大量分泌は、空腹時に糖質を大量にとると分泌量が跳ね上がる傾向があります。これを「血糖値スパイク(インスリンスパイク)」といいます。最近食事を食べるときは「まずサラダから」という流行は、この血糖値の上昇やインスリンの分泌をゆるやかにするための方法です。

また、インスリンが大量に分泌されると血糖値が急降下し、低血糖状態になる可能性があります。低血糖になると、身体はエネルギーを求め、空腹感を感じ始めます。食後数時間なのにすぐにお腹が減ってしまうという方はこの血糖値スパイク(インスリンスパイク)に気を付けた方がいいかもしれません。

ダイエットに適した栄養状態になる

体脂肪として溜まりやすい糖質の摂取を減らすことで、ダイエットに適した栄養状態になります。特に、炭水化物を好んで食べている人にとっては、大きな効果が期待できるでしょう。

空腹感を感じず、また空腹によるストレスが溜まらない食事内容にするためには、糖質を減らす代わりにタンパク質の摂取量を多くする必要があります。タンパク質は、筋肉を構成する重要な栄養素です。そのため、ダイエット中は避けたい「筋肉の減少」も抑えることができます。

適切な筋肉量を保持することで、太りにくく痩せやすい体質にすることができるでしょう。

ダイエットで糖質制限する際の注意点

糖質制限はダイエットに効果的ですが、一方で気をつけなければいけない点もあります。ダイエットに逆効果になる場合があるため、次のようなことに注意してください。

カロリー制限ではなく糖質制限をすること

糖質制限で食品を選ぶ際は、カロリーではなく糖質を制限するように注意してください。カロリーだけに注目して食品を選ぶと、必要なエネルギー源である脂質とタンパク質の摂取量まで減少してしまいます。

すでにお伝えしたようにケトン体の原料は脂肪分です。ケトン体体質にするためには脂肪を適切に摂取することをおススメします。特に良質な脂質(中鎖脂肪酸を含むココナッツオイルやオメガ3を含む亜麻仁油)をとることでカロリーは補充されるが身体にいい状態を作れます。

また脂肪分を含む食品を極端に避けるとタンパク質の摂取が足りなくなる可能性があります(肉、魚肉、卵など)。その結果筋肉が減り、「食事制限をしている割に痩せない」という負のスパイラルになってしまします。

さらには、痩せたいからといって肉類の摂取を減らすことは、筋肉の成長を妨げるだけでなく皮膚の老化を加速させる恐れがあるのです。

糖質や脂質の摂取量が少ないと、筋肉中のタンパク質が分解されて筋肉量が減少する恐れがあるため注意してください。

食事ではカロリーではなく、あくまでも体脂肪として蓄積されやすい糖質のみを制限することを念頭に置きましょう。

バランス食の栄養素に注意すること

ダイエットを健康に行うには、栄養バランスが取れが食事が必要です。ではどういった点に注意するとよいのでしょうか。

「PCF比」または「PCFバランス」がに適したものが、理想的な食事のバランスと呼ばれています。PCFとはそれれぞれ、P:プロテイン(タンパク質)C:カーボ(糖質)F:ファット(脂質)の頭文字をとった言葉ですが、理想的な比率として2:6:2を推奨している食事法もあります。

健やかに毎日を過ごす意味ではこのPCFバランスも悪いものではないですが、ダイエットに関していうとやはり食事の6割を糖質にするというのはいささか疑問に思います。

というのも、このPCFバランスは一説には戦後や昭和の食糧難、食の欧米化による脂質の取り過ぎの懸念からうたわれているので今この飽食の時代に当てはまらないこともあるように思います。この通りに食事をすると、炭水化物(特に糖質)を多く含む麺類、丼ものも「理想的な栄養バランス」…ということになりかねません。

特に麺類や丼ものは、糖質の割合が高い食事が多いため、食べる際には含まれる栄養素を確認するようにしましょう。

また、野菜が豊富な献立でも糖質が多い場合があります。例えば、イモ類やカボチャなどは糖質(炭水化物)が豊富です。バランスが良い献立と思っていても糖質過多になる恐れがあるため、注意しましょう。

糖質制限の失敗で多いのは、糖質摂取量を下げたいがためカロリー摂取まで減らしてしまうことです。糖質を減らした分、脂質、タンパク質でエネルギーを補うように心がけましょう。

また一般に糖質=炭水化物と思われがちですが炭水化物は糖質+食物繊維です。食物繊維は脂肪に変換されたりエネルギー源にならないばかりか腸内細菌に作用し整腸作用もあります。糖質と炭水化物を同一視した摂取制限によって食物繊維不足になると、腸内環境の悪化から体の栄養バランスが崩れたりする恐れがあります。そのため、炭水化物(糖質を含む)をまったく摂らない食事は控えるようにしましょう。

健康的なダイエットのためには、糖質を摂取しないのではなく、糖質を少なくしながら栄養バランスの良い食事にする「ローカーボ(ロカボ)」がおすすめです。ロカボ食では、糖質の摂取を制限しながらタンパク質を十分にとること。そして脂質を適量摂取し、野菜や海藻類を十分に摂取することが大切です。

トレーニング時の栄養補給は適切に行うこと

食事だけでダイエットを行おうとすると、失敗する原因になります。スムーズなダイエットやリバウンド防止のためには、筋力トレーニングも取り入れることをおすすめします。

トレーニング時は普段生活するよりもエネルギーを消費します。運動によって枯渇しない程度の糖質は摂取するようにしましょう。市販のプロテインに若干の糖質が含まれるのは運動後、糖質が枯渇しすぎないようにするためやタンパク質の吸収を早めるためでもあります。

糖質制限で体内の糖質が十分でない場合、筋肉の回復ができません。また筋肉疲労も蓄積することになり、トレーニングをしても筋肉量が増えなかったりケガの原因になったりしてしまいます。

糖質制限中でも、トレーニング前後に糖質を補給することでスムーズなダイエットができるでしょう。

糖質制限食の目安

特に糖質初心者は性急な糖質制限ダイエットに注意が必要です。糖質制限の目安にしていただくため、段階に合わせて目安をまとめてみました。

ご自身の目標や日頃の運動状況、健康状態を確認しながら、まずは制限の緩やかなものから挑戦してましょう。

  • プチ糖質制限:夕食のみ糖質制限。朝や昼は自由に食べれる。1食あたり50〜60グラムで1日あたり110〜140グラムの糖質を目指す。
  • スダンダート糖質制限:夕食は糖質制限。朝や昼はどちらか1回だけ糖質OK。1食あたりで50〜60グラムで1日あたり70〜100グラムの糖質を目指す。
  • スーパー糖質制限:朝昼晩と全ての主食(炭水化物)を食べない。1食あたり10〜20グラムの糖質で1日あたり30〜60グラムの糖質を目指す。

食後数時間を置かずに空腹を感じたり、身体に力が入らないなどの症状に見舞われたりする場合は、糖質制限によるエネルギー不足があげられます。ケトン体回路が十分に活性化していない可能性もあります。糖質制限を少し緩めるなどの調整が必要です。

前述にもある通り、栄養不足は遠因的に筋力の衰えを招いてしまいます。

無理のない範囲での制限をお勧めします。

まとめ

糖質制限のメリットと注意点を解説してきました。

適切な糖質制限食は、ケトン体代謝体質になったりインスリン過剰分泌が抑えられたりするため、ダイエットに効果的です。そこにトレーニングを組み合わせることで、ダイエットの成功率やリバウンドの防止率は格段にアップするでしょう。

糖質制限で効果を出したいのであればPCFバランスは1:1:1で初めてみましょう。1:1:1でも糖質は少なくすぎることはないという報告もあります。

しかし、過度な糖質制限は栄養バランスの崩壊や筋肉量の減少などを招く恐れがあります。そのため、糖質を減らす量に注意しながら、昔ながらの栄養バランスの良い食事を心がけることをおすすめします。

この記事の監修者

小津間勇二

ハコジム エグゼクティブトレーナー。パーソナルトレーナー養成校HUB校長。国家資格 柔道整復師。後進のトレーナーを教育する傍ら、自らも現場に立ち指導に取り組んでいる。