近年、ヨガと並び、女性を中心に人気が高まっているエクササイズであるピラティス。
大きく分けるとピラティスには、「マットピラティス」と「マシンピラティス(リフォーマーピラティス)」の2種類あるのですが、「ピラティスをやってみたい」という大抵の人がマットピラティスを取っ掛かりとしています。しかし実は、ピラティス初心者にはマットピラティスよりマシンピラティスがおすすめなのです。
今回は、初心者にマシンピラティスがおすすめであることを、マットピラティスとの違いも踏まえながら説明していきます。
ヨガなどと同じように、マットの上で行うピラティス。グループレッスンの一つとして導入しているフィットネスクラブが多く、日本で一般的に知られているスタイルで、マットがあればできるという手軽さから、最近ではオンラインでのレッスンや、自宅でできるエクササイズとしてDVDなどが発売されています。
補助道具として、弾力性のあるボールや伸縮性のあるバンドなどを用いることもありますが、基本的には自身で自重を支え、身体を調整しながら動作を行います。
対してマシンピラティスは、ピラティス専用マシンの上で行います。このマシンにもいくつか種類はあるのですが、代表的なのはリフォーマーです。「身体をリフォームさせる」という意味でこのように名付けられたのですが、スプリング(バネ)の付いた可動式ベッドに、ストラップやバーなどが付属されており、動作の際、これらが身体の補助的な役割をしてくれます。
また、スプリングの強さやストラップの長さを調整することにより、身体にかかる負荷も調整することができ、トレーニング強度を個々の体力や筋力に合わせて選ぶことができるのです。
マットピラティスに比べ、まだ一般的ではないマシンピラティス。マットピラティスと違い、マシンが設置されている専門的なスタジオに行かなければならず、そういったスタジオも、日本ではまだ多くはないからです。また、マシンを使うということが、スポーツ選手などアスリートのトレーニングであるようなイメージが強く、尻込みしてしまう人も少なくはありません。
しかし、元々ピラティスは、マシンピラティスからスタートしたのです。
ピラティスはドイツ人のジョセフ・ピラティスが第一次世界大戦中、従軍看護師として負傷兵のリハビリとして考案したのがはじまりですが、その際にピラティス氏は、ベッドのマットレスのスプリングを取り外し、リハビリ用マシンとして改造しました。それこそがリフォーマーの原点であり、そのマシンを用いて、寝たきりの負傷兵に対し、リハビリとしてのエクササイズを指導したのです。
故に、マシンピラティスこそが、ピラティスの「元祖」であり、ピラティスの基盤なのです。
ピラティスの基本は、身体の中心となる体幹部コアを安定させ正しい姿勢を保つことですが、これがマットピラティスでは難しい点なのです。特に初心者の場合、コアを支える充分な筋肉が備わっていないことが多く、身体の内側に意識を向けることができない場合があります。コアが安定しない状態で動いても、ピラティスの効果を得ることができないのは勿論、身体に余計な負担がかかり痛みなどを引き起こしてしまうケースもあります。
その点、リフォーマーを使えば、リフォーマーが身体を補助し、正しい姿勢を保ちやすくする効果があり、ピラティス本来の正しいフォームでのエクササイズを行うことができるのです。
リフォーマーを用いることで、自身の身体が理解しやすくなります。例えば、ストラップに足をかけて両足を動かすフットワークのエクササイズがありますが、ストラップによって負荷がかかった状態で行うことにより、右足はスムーズに伸びるのに左足は伸びにくい…などといった、左右差が理解できるようになるのです。それによって、自身の身体の癖などがわかるようになり、身体への意識が深まり、どこをどのように鍛えれば良いのか、といったような、トレーニングの目的意識にも繋げていくことができます。
リフォーマーを用いることによって、身体を補助し動作をサポートしてくれるので、マットピラティスでは難易度の高い動作にも挑戦することができます。柔軟性や可動域の向上といった効果を期待することができ、また、挑戦することによって「頑張ろう!」とトレーニングに対するモチベーションのアップにもなります。
いかがでしたか。
日本ではまだ認知度の低く、アスリートなど一部の人向けのような特別感のあるマシンピラティスですが、アメリカではマットピラティスと並んでポピュラーなエクササイズとなっています。それだけ、万人が親しみやすいエクササイズなのです。
また、マットピラティスのレッスンに比べマシンピラティスのレッスンの受講費は高額ではありますが、それだけ得るものが多いのです。
百聞は一見に如かず、ぜひ一度、マシンピラティスにトライして、その効果を体感してみて下さい。