「驚くほどシンプル、そして効果絶大」といわれているダイエット方法、それがパレオダイエットです。しかもリバウンドの心配がないというのですから、非常に興味がそそられますね。
今回は、オリンピックのメダリストやハリウッドセレブも実践していて、日本でもじわじわと広まりつつあるパレオダイエットについて、その仕組みや効果、取り組み方をお伝えします。
パレオダイエットは日本では「原始人ダイエット」と呼ばれることもあり、この呼び名だけでもすごくインパクトがありますね。
ではなぜそんな呼び名がついたのでしょうか?
パレオダイエットの「パレオ」とは、PALERLITHIC(旧石器自体)からとった名称です。
日本人は農耕民族と呼ばれていますが農耕が根付いた弥生時代は今から約3000年前、それは長い人類の歴史の中の一瞬です。そして、弥生時代からさらに約一万年前、人間は狩猟や採取をし生きていました。
この時代の生活様式の特徴、つまり「食材をそのままに食べること」が、パレオダイエットの呼び名の由来となっています。
また、これを現代風に言い換えるとローフード(生食)と言い、一昔前にハリウッドセレブなどでダイエット方法として流行しました。パレオダイエットとは、その流れを汲みつつ、さらに強化された方法と言えるでしょう。
このような、肥満や現代病などとは無縁な原始時代の食生活を真似すれば、現代人も健康的にダイエットができるのではないかという考え方に基づいていたダイエット方法を、「パレオダイエット」と呼んでいます。
すごくシンプルな考え方ですが、何となく「そうかもしれない」とうなづいてしまう人も少なくないかもしれません。
パレオダイエットがなぜ効果的なのか、その仕組みを解説します。
まず一番の効果としては「酵素」が摂取できることです。
酵素とは、消化吸収などの生命活動において必要な代謝の一端を担っています。この酵素は、消化酵素と代謝酵素というものがあり1日あたり産生される量が決まっていると言われています。前者は食べたものを消化吸収するために、後者は内蔵に存在し生命活動を円滑に行うためにはたらいています。
ジャンクフードなどを食べると添加物など人工的なものを消化するために消化酵素が大量に消費します。ですので、代謝酵素の方に酵素を回せないので体の不調や代謝の減少を起こし肥満になったります。
酵素の摂取に続いて、パレオダイエットが大きな効果をもたらす理由としてあげられるのが「痩せホルモン」と呼ばれる「インクレチン」にあります。インクレチンは小腸から分泌されるホルモンで、食後の血糖値の上昇を防いで体重増加を抑える働きがあります。
インクレチンは糖尿病の薬にも使われていて、血糖値を下げる働きがあるインスリンの分泌を促したり、脳の満腹中枢を刺激したりもするのですね。
パレオダイエットでは食材をそのまま(またはそのままに近い状態で)食べることと、食物繊維を豊富に摂取するため、腸が良く動き、インクレチンの分泌が促進されます。ですので、パレオダイエットが減量に効果的に作用するわけです。
実は、WHO(世界保健機構)が肥満予防のために推奨する食事よりも、パレオダイエットでの食事の方が、インクレチンが多く分泌されるという研究結果も出ているというのはすごい発見だそうです。
パレオダイエットには、減量以外に期待できるさまざまな効果があります。
健康面で良い影響となるのが食品添加物を摂取しなくて済むという点です。ファストフードやコンビニ弁当が多い人は、パレオダイエットに切り替えると添加物の減少で肝臓やその他の細胞への負担が減るでしょう。
また、体内に不要なものを摂らなくなればデトックスがスムーズに行われることとなり、むくみや酷い疲れの予防にもなります。
パレオダイエットで麺類やパン等の炭水化物を食べないことで、グルテン摂取を避けられます。
グルテンは腸内環境の悪化を招く可能性があり、アトピーや花粉症のアレルギーを招くともいわれますから、そこにもパレオダイエットが役立つわけです。
パレオダイエットには、運動や食事回数等の面で厳しいルールがないため、一般的なダイエットにありがちな「食べてはいけない」というストレスからはかなり解放されるでしょう。
また、今までに幾度もダイエットの失敗を繰り返してきた人は、パレオダイエットならば精神的負担が少なく、穏やかな気持ちで痩せていけるかもしれませんね。
パレオダイエットの効果を知ったら、「では何を食べればいいの?」というのが率直な疑問ですよね。
パレオダイエットが勧める原始時代の食材とは、いわゆる狩猟採集の獲物である肉や魚、そして木の実や野菜等です。一方、避けたい食材は、狩猟採取時代の次に始まった農耕によってつくられたもので、米、豆、小麦等はその代表です。
では以下に、パレオダイエットのOK食材とNG食材をもう少し詳しく紹介します。
肉類…基本的には鶏肉が中心となりますが、赤身の牛や豚もOKです。
魚介類…ほぼすべての魚介類がOKです。調理法に指定はありませんが、原始時代ですから簡単な方法を選びましょう。
たまご…完全食品であるたまごは毎日でもおすすめです。
野草…原始時代には野草ですが、現代においては野菜で大丈夫です。ただイモ類はNGです。
きのこ類…糖質OFFで低カロリーのおすすめ食材です。
ナッツ類…ナッツは原始時代の主食であった可能性があります。
果物…原始時代のごちそうだったかもしれません。果糖があるので食べ過ぎには注意です。
穀物…農耕により作られる米や小麦はNGです。一般的にいう「主食」であるごはん・パン・麺はこれに当たります。
豆類…豆類と、大豆製品である豆腐・納豆・味噌・しょうゆもNGです。
加工食品…加工食品には食品添加物が多く含まれているため、ハム・ウィンナー・缶詰はNGです。
乳製品…原始時代にはない牛乳・ヨーグルト・チーズ・バターがNGとなります。
塩・砂糖…塩は調理にどうしても必要な場合があり、少しならOKです。砂糖はNGです。
パレオダイエットが原始食である際につっこまれる内容としては、結局「糖質制限」でしょ?というところです。
実際、肉や魚介類などはそうですが、ナッツ類やフルーツ類をとれるところが少し違います。また糖質制限ダイエットがよくないと言われるところは糖質制限によるカロリー減少です。
パレオダイエットは糖質を抑えた分、タンパク質と良質な脂質はとってカロリー摂取は減らさないので、健康的で効果的なダイエットが実現できるのです。
パレオダイエットには非常にシンプルな3つのルールがあります。パレオダイエットを成功させるために以下のルールを守るよう心掛けてください。
パレオダイエットでは、1日に3食以上でもお腹が空いたら食べて構いません。時間もあまり気にしないでください。
パレオダイエットには、「運動で何カロリー消費して…」という発想はありません。日常生活の中で動いていればOKです。
パレオダイエットでは良質な睡眠をとることをとても重要視しています。良い睡眠で成長ホルモンの分泌が促進され、それがダイエットにも良い影響を与えるからです。
ここまでパレオダイエットの優れた点をお伝えしてきましたが、パレオダイエットを行う上でのデメリットもあります。
それは「費用がかかる」点です。
パレオダイエットでは基本的に天然素材のものを食べますから、当然値段は高くなります。パレオダイエットを突き詰めていくほど、食材費は増えるでしょう。
もちろん個人差はありますが、今まで加工食品が多かった人がパレオダイエットに集中した場合、食費が1.5~2倍くらいになる覚悟はいるかもしれません。
パレオダイエットに効果があることはわかったけれど、「実際にできるのか?」を考えた場合に、「できない」とあきらめてしまう人もいるのは事実ではないでしょうか。
それは食材選びだけを考えてみても、「毎日忙しく仕事をしていて、とてもOK食材だけを準備するなんて無理!」という声が聞こえてきそうです。
ただ、パレオダイエットの良いところを理解した人なら、「できることをやる」から始めることをおすすめします。
「週末だけ」「ウィークデイの中の1~2日だけ」パレオダイエットに取り組んでみてはいかがですか?
もちろんダイエットの効果は緩やかになるでしょうが、パレオダイエットには食品添加物やグルテンアレルギーを避けられるというメリットがありますから、「100%できなくても健康には良い」わけですよね。
食事のダイエットで失敗する人には、「ストイックに考え過ぎてしまう」ケースがしばしば見られます。その方法を完璧にやろうとするあまり、どこかでペースが崩れるとやる気が失せて挫折してしまうのです。
食生活は今までのその人の習慣であり「クセ」でもあります。クセを変えようとして、いきなり100%を目指すとその途中で苦しくなってしまう可能性は高いですよ。
パレオダイエットにうまく取り組めないことがストレスになってしまっては元も子もありません。まずは週に1日できるのであれば、そこからパレオダイエットをスタートさせてはいかがですか。
筋トレで体を変えようとしている人がパレオダイエットに取り組もうと考えたら、やはりスポット的に活用することが良いでしょう。
なぜならパレオダイエットは元々トレーニングをすることを前提にしていませんし、やはり原始時代には筋トレはありませんでしたからね。
ただ、筋肉が育つための栄養素として、パレオダイエットのOK食材からはタンパク質やビタミン・ミネラルはうまく摂取できそうです。
一番課題となるのは筋トレ前と筋トレ中の糖質補給でしょう。その際の糖質摂取は、プロテインやおにぎり等しか取れない時もあっても仕方ありません。
筋トレとパレオダイエットをうまく融合させる場合も、「できないこと」より「できること」を選択して行ってみてください。それだけでも体作りに「今まではなかった良い反応」が現れることは十分に期待できますよ。
パレオダイエットには「ダイエット」と名前がついていますが、ダイエット効果もあり、「本来の健康な身体に戻る」という効果もあるのではないでしょうか。
ですので、ダイエットのみにフォーカスせず気軽に健康のために「パレオダイエット」に取り組むのも一方法です。本来の体に戻った結果、理想的に痩せられるというように捉えてみると、パレオダイエットのハードルはかなり下がるかもしれません。
「まずは一度」パレオダイエットをあなたの生活にとり入れてみてはいかがですか?
今までにないダイエットの反応が感じられれば、さらにパレオダイエット生活を充実させていってみてください。その結果、あなたはダイエットにも成功し、本来の最適な体を手に入れられることでしょう。