昨今、体幹トレーニングの一つとして注目されているピラティス。このピラティスには、大きく分けて、マシンピラティスとマットピラティスの二種類がありますが、日本では「ピラティス=マットピラティス」というイメージが強く、マシンピラティスはまだまだ一般的には認知されていません。しかし実は、マシンピラティスこそがピラティスの起源であり、基盤となるスタイルなのです。
以下、マシンピラティスについての詳しい解説です。
ピラティスの基本は、身体の中心となる体幹部コアを安定させ正しい姿勢を保つことですが、これがマットピラティスでは難しい点なのです。特に初心者の場合、コアを支える充分な筋肉が備わっていないことが多く、身体の内側に意識を向けることができない場合があります。コアが安定しない状態で動いても、ピラティスの効果を得ることができないのは勿論、身体に余計な負担がかかり痛みなどを引き起こしてしまうケースもあります。
その点、リフォーマーを使えば、リフォーマーが身体を補助し、正しい姿勢を保ちやすくする効果があり、ピラティス本来の正しいフォームでのエクササイズを行うことができるのです。
リフォーマーを用いることによって、身体を補助し動作をサポートしてくれるので、マットピラティスでは難易度の高い動作にも挑戦することができます。柔軟性や可動域の向上といった効果を期待することができ、また、挑戦することによって「頑張ろう!」とトレーニングに対するモチベーションのアップにもなります。
ピラティスのトレーニングの第一目的は、身体の中心である体幹部(コア)を強化し、身体が正しいアライメント(姿勢)を保ち安定させていくことですが、これが実に難しいポイントなのです。特に運動に慣れていない初心者の場合など、身体の深いところにある体幹部を意識するのは容易ではありません。
マシンピラティスでは、足のストラップやバーなどの器具を使うことによって、身体を安定させ、正しいアライメントへと導く効果があります。それによって、より体幹部を意識し強化させることができるのです。
自分自身の身体については、意外と知らないものです。どんな癖があるのか、歩行などの日常動作どのように行っているのか、他の人に言われてはじめて気づくということがほとんどです。
それが、マシンピラティスをすると、自分自身の身体への理解を深めることができるのです。
例えば、ロープを使って腕や脚を動かす動作があります。左右対称のロープを使うことにより、右脚に比べ左脚が伸びにくい、などといった筋力や柔軟性の左右差に気づくことができ、身体の癖を理解することができるようになるのです。
それによって、身体のどの部分にフォーカスすれば良いのか、といったトレーニングの目的を明確にすることができ、より効率的なトレーニングへと繋ぐきっかけとなるのです。
スプリングやロープなどの器具は、負荷をかけるだけでなく、時には動作のサポートとしての働きもするのです。例えば、ビート板のサポートで浮力を得て水泳の練習をするように、スプリングのバネやロープの伸縮などのサポートで、動作をよりスムーズにできるようになり、筋力・柔軟性のアップを目指すことができるのです。
さて、ここまでマシンピラティスついて詳しく述べてきましたが、冒頭にあるように、世間一般で認知度が高いのはマットピラティスです。
その名の通り、マット上で行うピラティスで、スポーツ施設やカルチャー教室などのクラスに導入されていることも多く、門戸が広く気軽に挑戦することができます。そのため、マシンピラティスに比べ難易度が低いというイメージを抱かれがちですが、実はマシンピラティスに比べ難易度が高く、特に初心者には適しません。
マットピラティスは、自身で自重を支え、身体をコントロールしながら動作を行っていきます。つまり、自身の身一つでトレーニングを行っていくわけですから、何もサポートがない状態なのです。そのため、体幹部を安定させる筋肉が不十分な初心者の場合、正しいアライメントを保つことができず、バランスの悪い状態で動作を行い、身体に負担をかけ怪我や痛みの原因となってしまうこともあります。
それゆえ、マットピラティスは、体幹部が安定しきちんと身体をコントロールできる術を身につけた人向けの、ステップアップしたピラティスのスタイルなのです。
マシンピラティスは、初心者のピラティスの入門としてはもちろん、日常的にスポーツ習慣のある人にも、あらゆるニーズに応えることができるトレーニングです。
まず、初心者の人には、先述の通り、身体を安定させ、正しいアライメントで動作を行っていくため、リフォーマーのサポートは大切です。正しい身体の使い方によってトレーニングを重ねることで、より効果を実感できるようになります。
そして、スポーツ習慣のある人にもおすすめです。どのスポーツも、基本は体幹部です。体幹部を安定させることで身体の動きが良くなり、パフォーマンスアップへと繋がり、また怪我や故障の予防の効果もあります。