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ケトルベルの使い方を動画で解説!注意点やポイントも紹介

今回は、ケトルベルを使ったトレーニングを紹介していきたいと思います。

ケトルベルとは

ケトルベルとは鉄球にやかんの取っ手のようなハンドルをつけたトレーニング器具です。大きなハンドルがついているため、片手でも両手でも握りややすいのが特徴です。また鉄球とハンドルからなる形状から、バーベルなどに比べてコンパクトで取っ手がついているため操作性が高いのも特徴です。このような特徴からダンベルのように片手で扱い、単一の筋肉に効かせるような種目から、両手で扱い、全身を複合的に使ったり、爆発的に使う種目まで行うことができます。

プライオメトリックトレーニングとケトルベル

プライオメトリックトレーニングは一般的なウエイトトレーニングとは動作のメカニズムが異なり、筋肉の反射を使ったトレーニングです。筋肉には引き伸ばされると強く縮む「伸張反射」という反射機能があります。
これによって筋肉が引き伸ばされ続けて断裂することを防いでいます。またこの反射は運動において、筋肉の伸張-収縮をすばやくし、動作を効率化しています。この反射をトレーニングに落としこんだのがプライオメトリックトレーニングです。
反動を使って動作を爆発的に行い、瞬発力を高めるのが主な狙いですが、筋肉の肥大にも有効です。反動を使って爆発的な力を出し、量や質において過負荷が生じればプライオメトリックトレーニングとして成立するので、そのトレーニング種目は自重でのジャンプから重量挙げの動作まで多くあります。

ウエイトを使った種目だとスナッチやハイクリーンなど、バーベルを使った重量挙げの種目が一般的ですが、長く重いバーベルを爆発的に動かすのは危険であり、多くのジムではそれらを行う環境はありません。
そこで活躍するのがケトルベルです。両手で扱うことができ、バーベルに比べるとコンパクトで、取っ手がついているため操作性が高いのケトルベルはプライオメトリックトレーニングとの相性が良いです。ケトルベルで安全にプライオメトリックトレーニングを行っていきましょう。

ケトルベルスイング

ケトルベルスイングとは

ケトルベルスイングとは両手でケトルベルを持って振り回すプライオメトリックトレーニングです。ケトルベルスイングを行うことで体の後面、特に股関節周りの筋肉が使われ、それらの筋肉の肥大、筋力向上が望めます。さらに体の後面にある筋肉は大きな筋肉が多いので、消費エネルギーの増大、脂肪の減少にも効果的です。

ケトルベルスイングのやり方

ハコジムでケトルベルを扱う際は床を傷つけないよう、パッドを敷いてください。

ケトルベルは体の真下、両足のくるぶしを結んだ線上に置きましょう。体から離れたところに置くと、持ち上げる際に背中が丸まりやすく、腰を痛めやすくなります。

背筋を伸ばしたまま腰を落とし、両手でケトルベルを握りましょう。背筋を伸ばした姿勢を保ったまま、デッドリフトのように勢いよく立ち上がりましょう。この股関節の伸び、起き上がりの勢いでケトルベルにスピードを与えましょう。

ケトルベルは胸のあたりの高さまで振っていきましょう。この時、手や肩の力でケトルベルを動かさないようにしましょう。力を発揮するのは体の後面の筋肉です。デッドリフトや垂直とびを繰り返すようなイメージで行いましょう。

ケトルベルスイングは下肢の瞬発的な力を上肢に伝えケトル(負荷)を持ち上げる”運動の連鎖”が必要なトレーニングです。肩に力が入ってしまうと下肢からの力の連鎖が崩れてしまうので効果が減少します。ケトルを手放さないくらいは意識しますが過剰に腕、肩に力をいれないようにしましょう。

あとはこの動作を繰り返していきましょう。まず小さなスイングから始め徐々に大きなスイングへしていきましょう。ケトルベルスイングは伸張反射を利用したプライオメトリックトレーニングであるため、反射が起こる局面(=ケトルベルがお尻に近づく局面)が非常に重要です。お尻や腿の裏の筋肉が引き伸ばされてその後、縮むことを意識してリズミカルにすばやく切り返していきましょう。またこの局面は背筋が丸まりやすくなるタイミングでもあるので、背中にも力を入れていきましょう。

目的にもよりますが、回数としては10~20回、3セット程度行っていきましょう。

ゴブレットスクワット

ケトルベルを使ったスクワットを紹介していきたいと思います。

ケトルベルを使って様々なスクワットができますが、ケトルベルの一番効果的に使うことのできる、ゴブレットスクワットという種目を紹介していきたいと思います。

ゴブレットスクワットのメリット

一般のスクワットの場合、例えばバーベルを使ったバックスクワットですと、バーベルと背中で担ぐため重心が高くなりバランスが不安定になったり、後ろに引っ張られる力が加わり、後ろにお尻を引いてしゃがむということが難しい方もいるかと思います。このゴブレットスクワットは、負荷をかける重りが胸の前にあるので、比較的お尻を後ろに出すフォームを習得しやすくなります。これが、ケトルベルを使った一番のメリットです。

胸の前で重りを持つことで、胸の前の重りケトルとお尻を後ろにひいてしゃがんだ際の重心がつりあうため、お尻を後ろに引くのがそれほど難しくなくなります。そのため、しっかりとお尻をひいたスクワットをマスターしやすいと思います。

ゴブレットスクワットのやり方

胸の前でケトルベルを抱えた状態で、通常のスクワットと同様に、フォームが水平になるようにして、立ち上がってみましょう。

お尻を後ろにひき、背筋を一直線に伸ばしたまま、腿が水平になるまで下ろしていきましょう。

膝が内側に入らないように注意しながら、しっかりとしゃがんで立ちましょう。

先ほど、ゴブレットスクワットは保持を前にすることでお尻を後ろにひきやすくなると説明しましたが、この場合どうしても保持する上半身に負荷がかかります。

上半身を保つのが難しい方は、デットリフトのように腕を伸ばした状態でスクワットをしていただいでも大丈夫です。重心はちょうど体の真ん中あたりになり、しっかり股関節を引いて、スクワットの動きができると思います。

その他のスクワット

またゴブレットスクワットに慣れてきて、ある程度の高重量でスクワットを行いたい方にはデッドリフトのように腕を伸ばした状態でケトルベルを保持するスクワットがおすすめです。先ほどのゴブレットスクワットに比べると上半身の筋肉の動員は減りますが、その分高重量が扱え、下半身には効きやすくなります。

先ほど、ゴブレットスクワットは保持を前にすることでお尻を後ろにひきやすくなると説明しましたが、この場合どうしても保持する上半身に負荷がかかります。
上半身を保つのが難しい方は、デットリフトのように腕を伸ばした状態でスクワットをしていただいでも大丈夫です。重心はちょうど体の真ん中あたりになり、しっかり股関節を引いて、スクワットの動きができると思います。

スラスター

スクワットがマスターできましたら、さらに運動量を増やしていきましょう。

今から紹介する種目は、私自身がエクササイズを一種類に絞って行うとしたら、このエクササイズを行うと決めている、オススメの種目です。こちらはスラスターと呼ばれる種目で、ベースは今のスクワットの動きです。

スラスターとは

スラスターとはスクワット動作と垂直方向へのプレスを同時に行うトレーニングです。全身の伸展筋群、さらには上半身と下半身をつなぐ体幹の筋群まで動員される種目であり、エネルギーが最も消費される種目のひとつです。スクワットとプレスをそれぞれ分けて高重量でトレーニングするのも良いですが、スラスターで一気に追い込むのもおすすめです。特に脂肪の減少を目指している方は積極的に取り入れていきましょう。

スラスターのやり方

胸の前に、ケトルベルを用意していただきます。

先ほどのゴブレットスクワットにプレスの動作を入れていきましょう。お尻を引いて深くしゃがんだところから、立ち上がる時に腕を垂直に伸ばしていきましょう。

伸ばしきったら今度は腕を曲げながらスクワットのボトム姿勢に戻っていきましょう。これを繰り返します。目的にもよりますが、回数としては10~20回、3セット程度行っていきましょう。

スラスターのメリット

スラスターの動きでは、全身を使うことができます。スクワットにより腿の後ろと前、膝や股関節を伸ばすような筋肉、ケトルベルを持ち上げる動きにより、体幹の筋肉も働いています。また、腕を伸ばすので、肩や腕の後ろの筋肉、上半身の伸展系の筋肉など、ほぼ全身の筋肉を使うことができます。

腕を引っ張る動作がないので、背中の筋肉は使えないかもしれませんが、体を縮めるところから伸ばすような伸展系の筋肉が全て導入される最強のエクササイズです。

ダイエット中の方には、おすすめのトレーニングです。直列つなぎの筋肉すべてが発揮される種目ですので、大きな筋肉を鍛えることができます。

だいたい10キロで3セットぐらいの短いインターバルで行うと、かなり息も上がって汗も噴出してくると思います。脂肪の燃焼にはかなり効果的な種目です。

ヘイロー

最後は、上半身だけを取り出したトレーニングです。
上半身なので、ケトルベルは少し軽いものを使っていきましょう。

ヘイローとは

ケトルベルを鉄球が上に来るように両手で持ち、頭の周りを回す種目です。肩や肩甲骨周辺の筋肉が鍛えられ、可動域の拡大も望めます。頭の後ろの辺りでも大きくケトルベルを回していきましょう。一周毎に回転の方向を変えていきましょう。目的にもよりますが、回数としては10~20回、3セット程度行っていきましょう。顔の前で回転を変え、そのタイミングで垂直方向へのプレスも加えるヘイロー+プレスもおすすめです。より肩への刺激が大きくなります。

ヘイローのやり方

まず、胸の前でケトルベルの玉が上に来るように両手でケトルベルを持ちます。

そして、頭の前から後ろへ顔の周りをぐるっと回します。同様に、反対周りも行います。

肩の筋肉に効いているのを意識して、ケトルベルを回します。

ヘイローのメリット

ヘイローでは、常に肩の筋肉でケトルベルを支え続ける必要があります。肩の筋肉に常にテンションがかかってるので、肩周りにとても効果がある種目です。

ヘイローの動きに、プレスの動きを加えていただくと肩から腕の後ろの筋肉に効果的です。
頭の周りを回して、腕を上に伸ばすという動きです。同様に、反対周りも行います。

まとめ

ケトルベルは非常に操作性が高く、様々な動作を同時に行うことができるため、いろんな箇所の筋肉を同時に鍛えることができます。これにより、パフォーマンスの向上が期待できます。

一箇所の筋肉を取り出して鍛えるということも、ボディビルディングとして筋肉をつけるということにフォーカスすれば非常に効果的です。それに対して、ケトルベルは動きの中で鍛えるような全身の種目が可能ですので、そういった特徴をしっかり使っていただいてトレーニングしていただきたいと思います。

ご紹介した種目以外にも、ケトルベルを使ったトレーニング種目には様々なものがあります。また、ケトルベルを使ったトレーニングは様々な目的にも対応することができます。
瞬発力の向上にも、筋肥大にも、筋持久力の向上にも、脂肪の減少にも、可動域の拡大にもケトルベルひとつでアプローチすることができます。これはケトルベルが操作性と質量の両方を兼ね備えているためです。自由度の高いケトルベルを用いて、手段を目的を一致させながら、トレーニングをより良いものにしていきましょう。

この記事の監修者

小津間勇二

ハコジム エグゼクティブトレーナー。パーソナルトレーナー養成校HUB校長。国家資格 柔道整復師。後進のトレーナーを教育する傍ら、自らも現場に立ち指導に取り組んでいる。