同じ食事内容でも、同じトレーニングをしても、筋肉がつきやすい人もいればつきにくい人もいます。
筋肉がなかなか大きくならないハードゲイナーの中には、スムーズなボディメイクができないことで悩んでいる人も少なくありません。
そこでここでは、筋肉のつきやすさが異なる原因やハードゲイナー向けの筋肥大を起こす方法について解説していきます。
まずは、なぜ簡単に筋肉がつく人がいる反面、なかなか筋肉がつかない人がいるのか、その理由について説明します。
筋肉の付きやすさは、体質に関係する部分が多いです。その一つに「遺伝」があります。
遺伝の影響を受けるものは、骨格や顔だけでなく、筋肉も挙げられます。
たとえば、筋肉には遅筋と速筋がありますが、その割合は遺伝によって個人差があります。
遅筋は持久力に関わる筋肉です。遅筋自体が細い性質を持ちまた、特徴として長い時間小さな力を発揮することができるので鍛えると持久力がアップし、マラソン選手のようなスリムな体型の細い筋肉になります。
一方、速筋は瞬発力に関わる筋肉です。速筋自体は太い性質を持ち、特徴として短時間で爆発的なパワーを発揮することができるため鍛えると瞬発力がアップし、陸上の短距離選手や格闘家のような大きく太い筋肉になります。
筋トレをしても筋肉がつきにくい人は、遅筋の割合が多い可能性があります。
また、筋線維そのものの数も遺伝の影響を受けていることがあります。
筋肉を大きくするためには、この筋繊維一本一本を太くする必要があります。しかし筋線維の数が少ないと、食事や筋トレ効果が筋肉全体の大きさになかなか反映されません。
筋肉のつきやすさは、ホルモンの影響も受けます。
筋肥大を引き起こす重要なホルモンは、主に男性ホルモンの「テストステロン」です。
筋肉がつきにくい人は、このテストステロンの分泌量が少ない恐れがあります。
また、体質的に男性ホルモンの働きを阻害してしまう女性ホルモンの分泌量が多い、女性ホルモンの影響を受けやすいなどの可能性もあります。
そのため、筋肉をつけるためにはホルモン対策も重要になってきます。
筋肉がつきにくい原因はさまざまですが、一般的なものとして以下の5つが挙げられます
個々人の遺伝子は筋肉の成長に影響を与えます。一部の人は筋肉が比較的簡単に成長する一方で、他の人は成長が遅れたり限られたりする場合があります。
筋肉を成長させるためには、適切な栄養が必要です。
特にタンパク質は筋肉の構築に不可欠であり、十分な摂取が必要です。
また、炭水化物や脂肪もエネルギー源として重要です。
これらの要因が組み合わさることで、筋肉がつきにくくなることがあります。
トレーニングや生活習慣を見直し、これらの要因を改善することで筋肉の成長を促進することができます。
ハードゲイナーとは、 食事量やカロリー摂取量を増やしても体重が増えない人のことを言います。筋トレをしても筋肉がつきにくいだけでなく、体脂肪率も高くなりにくい傾向にあります。
このようなハードゲイナーになる原因には、上記の遺伝やホルモンの影響が大きいです。
また、消化器官の働きが弱く栄養がスムーズに吸収されないこともあります。
食べたものが栄養として体内に吸収されないと、食事量を増やしても、また栄養価が高い食事をとっても体外に排出されてしまいます。その結果、体重自体増えにくくなります。
また、ハードゲイナーと思い込んでいる場合もあります。しっかり食べているつもりでも、実は体重増加に必要な量を食べていない場合です。
食が細い人や食事を抜いている人などは、このケースに当てはまっている可能性があるため注意しましょう。
ハードゲイナーでも筋肉をつけるためには、筋肉量を増やすサイクルをしっかり回すことが大切です。次のように食事・トレーニング・休養の改善を図ることで筋肉をつけましょう。
食生活の改善は、ハードゲイナーでも筋肉をつけるための重要な要素です。そのためには、いくつかのポイントを押さえる必要があります。
まず、現在どの程度のカロリーを摂取しているか計算してみてください。このとき、栄養バランスも計算してみるとよいでしょう。
たんぱく質と糖質、脂質の三大栄養素がどの程度摂取できているかを確認してみてください。
なお、一日に必要な総カロリー量は農林水産省で目安が定められています。
成人男性の場合、身体活動量が低い人は2,200kcal前後、身体活動量が普通以上ある人は2,400kcal~3,000kcal必要です。
成人女性の場合、身体活動量が低い人は1,400kcal~2,000kcal、身体活動量が普通以上ある人は2,200kcal前後必要です。
ハードゲイナーは、目安のカロリーを摂取しても吸収されず排出されてしまうことが多いため、これよりも多くのカロリーを摂取する必要があります。
食が細く十分なカロリーを摂取できていない場合は、食事回数を増やすことでカロリーの総量を増やしてください。
その上で、栄養バランスを良くすることが大切です。筋肉の元になるたんぱく質摂取量を増やすほか、糖質と脂質もしっかりとるようにしましょう。
食事での栄養補給が難しい場合は、プロテインなどサプリメントの活用もおすすめです。
また、ネギやニンニクなどのネギ類、人参、アボカド、山芋などの食材を食事に取り入れると、ホルモン対策にもなります。これらの食材を積極的に摂取することで、男性ホルモンの分泌やテストステロンの働きをサポートすることが期待できるためです。
昨今ではそもそも消化吸収をうまく行えないのは小腸に原因があるのでは?ということから腸内環境と整える食事に注目が集まっています。ハードゲイナーはたくさん食べること+食べたものがちゃんと身になるために腸内環境を意識した食事をすることがおすすめです。
さらに、次で説明するトレーニング時には、たんぱく質だけでなく糖質を補給することも大切です。トレーニング時に、エネルギーを作り出すために筋肉を分解してしまうカタボリック状態にしないためです。
トレーニング開始1時間前に、白米やパスタのような炭水化物(糖質)の多い食事をとるとよいでしょう。
トレーニング法を工夫することで、筋肉をつきやすくします。そのためには、有酸素運動ではなく筋トレのような無酸素運動がよいです。
特に、バーベルやダンベルを使ったフリーウエイトトレーニングが効果的でしょう。フリーウエイトトレーニングを行うことで、筋肉に強い刺激を与えられるほか、より多くの筋肉を動員できるため、効率的な筋肥大が期待できます。
また、テストステロンの分泌量を増やすためにも効果的です。
筋トレの際は、負荷や回数に注意してください。軽くできる重量ではなく、1セット10~12回で限界がくる重量に設定することが大切です。
最終セットでは、これ以上できないところまで、しっかり筋肉を追い込むことが大切です。基本的に1種目3セット行うことで、狙った部位の筋線維をまんべんなく刺激できます。
鍛える部位は、胸や背中、脚など大きな筋肉を中心に、細かい筋肉を補助的に鍛えるとよいでしょう。具体的な筋トレ法については、当サイト内で解説していますので参考にしてください。
体重を増やすためには、休養もしっかりとるようにしましょう。
早く筋肉をつけたいがために毎日筋トレをすると、筋肉の回復が追いつかず、反対に筋肉量が減少してしまう恐れがあります。また、疲労の蓄積によりケガをする危険性もあります。
そのため、トレーニングは多くても週に3回、疲れが取れないと感じる場合は週に2回にとどめ、他の日は休養期間に設定するようにしてください。
また、睡眠時間を確保することも大切です。睡眠は7時間以上とることが理想ですが、難しい場合は睡眠の質を上げるようにしましょう。
適度な室温で就寝する、寝る直前までPCやスマーフォンの画面を見ないなど、刺激を避けリラックスできる環境で睡眠をとるとよいでしょう。
このような休養の改善は、スムーズな筋肥大をサポートするほか、ホルモンにも良い影響を与えます。
筋肉がつきやすい人とつきにくい人がいる理由やハードゲイナーでも筋肥大をする方法を解説してきました。
筋肉のついた肉体を手に入れることが理想ならば、遺伝の影響だから、ホルモンの影響だからと、ボディメイクを諦めるのは早いです。
食事やトレーニング方法、休養など総合的に対策することで、筋肉は大きくすることができます。
今回説明したことを生活に取り入れることで、少しずつ体つきが変わっていくことを実感できるでしょう。
ハコジム エグゼクティブトレーナー。パーソナルトレーナー養成校HUB校長。国家資格 柔道整復師。後進のトレーナーを教育する傍ら、自らも現場に立ち指導に取り組んでいる。