ダイエットや体幹のトレーニングにおすすめの「バランスボール」。球形で弾力のある特徴を利用して様々なエクササイズができます。
しかし、目的や体型に合ったバランスボールを選べていない人や効果的な使い方ができていない人は少なくありません。
そこで今回は、バランスボールの選び方やトレーニングメニュー、使用する際の注意点などについて解説していきます。
バランスボールとは、リハビリ用器具として開発されたもので大きなゴムボールのような形をしています。現在では、ダイエットや体幹強化などを目的とした様々なトレーニングに使われています。
バランスボールの大きな特徴は、独特の弾力や形です。弾力を活かしたり不安定さを利用したりすることで、他の器具ではできないトレーニング効果を得ることができます。
たとえば、球形の不安定さを利用することで体幹部を効果的に強化することができます。そうすることで、基礎代謝の向上からダイエットにつながる他、お腹をすっきりさせてくびれを作ったり各種スポーツで身体の安定性を高めたりすることもできるでしょう。
さらに、弾力のあるボールに座ったり転がしたりすることで、筋肉バランスの整備やストレッチ、筋肉への刺激など多様なトレーニング効果が期待できます。
バランスボールにはいくつかの種類があります。使用する際は、目的に応じたものを選びましょう。
バランスボールは、商品によってサイズや耐荷重、色、値段などが異なります。
一般的には、直径45cmの小さいものから75cmのものまで10cm刻みで展開されています。また、値段が高いものほど耐荷重の数値は大きくなる傾向にあり、使い方に余裕が出てきます。
特に重要な項目がサイズと耐荷重です。そのため、バランスボールを選ぶ際はこの2項目をしっかり確認することをおすすめします。
バランスボールは、目的や身長によって選ぶようにしましょう。
一般的に使われるサイズは、55cmと65cmです。
55cmサイズは、身長が165cm未満の人に扱いやすいでしょう。65cmサイズは、165cmを超える人におすすめです。
ただし身長が高くても、目的に応じて小さいバランスボールを選ぶことがあります。反対に身長が低い場合でも、大きいバランスボールを選んで大きく角度をつけるなど、トレーニング目的によって選ぶようにしましょう。
耐荷重は体重はもちろん、使い方によっても変わってきます。乗ってバウンドさせるような使い方をする場合は、耐荷重が十分ある値段の安すぎないものを選ぶことをおすすめします。
ここでは、バランスボールを使ったトレーニングメニューについて説明していきます。
バランスボールに座るだけでもエクササイズになります。姿勢を保つための筋肉が使われるため、難しい動作をしなくとも体幹を鍛えることができるでしょう。
トレーニング手順は次のようになります。
座った際に、太ももと床が平行になるようなサイズのバランスボールを選ぶことが大切です。
体勢を保つトレーニングは、負荷やバランス感覚に応じてレパートリーを増やすことができます。
たとえば、バランスボールに座り足を床から離す方法です。ただ座るよりも体幹の筋力やバランス力が求められます。
この場合、バランスボールの中央からやや後方に座り、両腕を横に広げてバランスをとるとよいでしょう。中級者向けのメニューと言えます。
バランス力を向上させるためには、バランスボールの上にひざ立ちをする、立ち上がるなどの方法もあります。さらに高いバランス力が求められるため、上級者向けのメニューでしょう。
初心者から上級者までおすすめする体幹トレーニングのプランク。このプランクにバランスボールを活用すると体勢が不安定になるため、体幹への刺激が増える他、より細かい筋肉に働きかけることができます。
プランクは次の手順で行いましょう。
より強い刺激を得たい場合は、片足を床から離して同様に行ってください。
また、腕の位置を前方に移動させると負荷が強くなります。ただし、その分バランスも崩れやすいため注意しましょう。
胸(大胸筋)や肩(三角筋)前部、二の腕(上腕三頭筋)などを鍛える腕立て伏せにバランスボールを活用するトレーニングです。
より不安定な姿勢で行うため、これらの筋肉を補助する筋肉も使われるのが特徴です。また上半身が高くなっているため、大胸筋の下部や体幹も同時に鍛えることができます。
インクラインプッシュアップは次の手順で行いましょう。
この動作を20回行いましょう。30~60秒の休憩を挟み、合計3セット行ってください。
なお足幅を広めにとると、バランスボールの不安定さに対応しやすくなります。
バランスボールを使ったニートゥチェストでは、ひざを胸に近づけることで腸腰筋を中心とした体幹を鍛えることができます。
腸腰筋とは上半身と下半身をつなぐ重要な筋肉で、日常生活からスポーツまで多くの動作で使われる特徴があります。この腸腰筋を鍛えると骨盤や股関節が安定するため、姿勢改善や腰痛予防に効果が期待できます。
ニートゥチェストは次の手順で行いましょう。
この動作を20回、3セット行ってください。
なお、腕からバランスボールまでの距離が短いと負荷が小さくなります。反対に距離が長すぎると、十分にひざを胸に近づけることができません。
そのため足を乗せる位置は、バランスボールの中央にひざの少し下の部分がくるようにするとよいでしょう。
ヒップリフトでは、お尻にある大殿筋や太ももの裏側にあるハムストリング、腰にある脊柱起立筋などの筋肉を鍛えることができます。バランスボールを使って不安定さを増加させ、さらに角度をつけることで負荷を高くすることができます。
ヒップリフトは次の手順で行いましょう。
この動作を20回、3セット行ってください。かかとがバランスボールの中央にくるように乗せるとやりやすいでしょう。
また、腰を上げた状態でしばらくキープすると負荷をより高めることができます。
ブルガリアンスクワットでは、太もも全体とお尻の筋肉を鍛えることができます。
特に太もも前部の大腿四頭筋に強い負荷をかけられる他、太ももの内側にある内転筋にも負荷がかかります。そのためダイエットはもちろん、下半身のボディラインを整えたい人におすすめのトレーニングです。
ブルガリアンスクワットは次の手順で行いましょう。
この動作を左右15回ずつ、3セット行ってください。負荷が足りない場合は、回数を増やしたり上体を下ろした状態でキープしたりするとよいでしょう。
バランスボールを使ったトレーニングは不安定になりやすい分、次のような点に注意する必要があります。
バランスボールを用いたトレーニングは、空気を規定の量までしっかり入れた状態で行ってください。
空気圧が足りない場合、意図しない動きをすることがあります。その結果、体が対応できず怪我をする恐れがあります。
初心者ほど空気をしっかり入れて安定性を高めるようにしましょう。
もしバランスボールを使ったトレーニングが難しく感じる場合は、安定させるためのリングを使うことをおすすめします。そうすることで不安定さを軽減させながら、高さや弾力を活用できるでしょう。
バランスボールを使ったトレーニングは不安定になりやすいため、体勢も崩れやすいです。
フォームが崩れたままトレーニングを続けると、筋へ強い負担がかかったり転倒したりする恐れがあります。そのため体勢が崩れそうになったら、そのまま続けることはせずに一度中断することをおすすめします。
正しいフォームでトレーニングするのが難しい場合、バランスボールではなく安定した台を使ってフォームを習得するようにしましょう。
バランスボールを使用すると、動きが大きくなったり体勢が崩れやすくなったりします。
近くに物や壁がある場所でトレーニングすると、体勢を崩した際にぶつかって怪我をする恐れがあります。そのため、周囲に何もない場所を確保してトレーニングするようにしてください。
バランスボールは一般的に塩化ビニルで作られているため、特に強度が高いわけではありません。もし傷つけてしまい、それに気付かずにトレーニングを続けた場合、空気が一気に抜けて体勢を大きく崩してしまう恐れがあります。
また、バランスボールに強い衝撃を与えるトレーニングでは、破裂する危険性もあります。そのため、傷つける恐れのある物を周囲に置かない他、身につける物にも注意するようにしてください。
バランスボールの選び方やトレーニングメニュー、使用する際の注意点などについて解説してきました。
バランスボールを使ったエクササイズでは、弾力と不安定さを利用することで体幹の筋力やバランス力を鍛えることができます。その結果、基礎代謝向上によるダイエット効果やお腹痩せ、各種スポーツでの安定性向上などの効果が期待できるでしょう。
ただし不安定になりやすい分、場所を確保し、空気圧に注意しながらトレーニングする必要があります。
ダイエットはもちろん、姿勢改善や腰痛予防、そしてくびれ形成などボディラインの整備で効果を出したい人は、ぜひバランスボールを使ったトレーニングを続けてみてください。
ハコジム エグゼクティブトレーナー。パーソナルトレーナー養成校HUB校長。国家資格 柔道整復師。後進のトレーナーを教育する傍ら、自らも現場に立ち指導に取り組んでいる。